理想と現実の狭間を見るバイヤー



 引き続き、上海から。

 今回の上海出張は、当地のグループ会社のサプライヤー開拓のサポートが目的。サポートできるの?!と自分で自分に突っ込みながらも、まぁなんとなるさ〜と気楽に構えている。最初は、実態がどうなっているかをつかまないとサポートも何もない。出張の前にいろいろなこちらの書類を読んでみると、ドキュメント的には完璧に近い。素晴らしい。ただ問題は、実際の人の動きがどれほどドキュメントに沿っているかいないか?なのだ。

 まず最初に全体感をこちらの工場長に説明してもらう。ふむふむなるほど。そうですか〜で、実際はどうですか?このプロセスは誰の責任?このケースは誰が主導権を取るの?・・・・・・沈黙が続く。そして工場長が一言。

 「詳細は決まっていなくて、ケースバイケースなんだ・・・・・・」

 別に驚きません。だって、それが実情だろうから。

 これまでにも中国のサプライヤーには、理想と現実というか、建て前と本音の大きな違いをまざまざと見せつけられることが多かった。実際に日本のサプライヤーだって、自信を持って監査を受けて得た認証その通りに仕事をしているケースは少ない。現実的なところでは、重要なポイントは理想的に。それ以外は程ほどにってところではないか。

 今回のケースでは、他の多くの経験と同じように、書類的には日本よりも上を行く内容を兼ね備えている。少しでも書類という名の「理想」と実態の溝を埋めていくのがこれからの大きな課題と言える。そこで何が私にできるかを考えながら今回の出張を日々過ごしてゆきたい。

 中には、日本よりも中国のほうが優れている面も多々ある。今日の話の中では、そんな部分も垣間見ることができた。そろそろ中国に対するステレオタイプ的なイメージを捨てた方が良いかもしれない。