異質を目指すバイヤー




私はバイヤーとしてだけではなく、営業としてもいろいろなエンジニアと仕事をしてきた。入社して間もない頃、異動してバイヤーになりたての頃は、うるさ型のエンジニアにあーでもない、こーでもないと難癖をつけて頂いた。今となっては、当時そうしてくれたことに感謝こそあれ、当時は、デス・ノートがあったら真っ先に名前を書いてやろうと思ったりもしていた。


そんなエンジニアに苛まれながらも私が幸福だった点は、多くのエンジニアに「素晴らしい」と思える点があったこと。そして、多くの素晴らしいエンジニアの皆さん、技術的に秀でていることはもちろん、口下手な私を、面談の最中に老獪な話術でフォローしてくれたり、製品仕様のレクチャーをしてもらったりと、二人三脚というよりおんぶに抱っこだったかもしれない。


素晴らしいエンジニアとは、どこがわからないかを明確にしているかどうか、そして真剣さをもっているかどうかだと思う。これまでに何度か、仕様が具体的でないものを買ってこい!といわれた経験がある。中には、他に手段が無く、サプライヤーのノウハウを借りて、仕様を具体化したケースもある。一番残念なのは、


・もうちょっとお客さんへ聞けば

・もうちょっと同僚と相談すれば

・もうちょっとサプライヤーに質問すれば

・もうちょっと事前にやれば

・もうちょっと時間があれば


仕様がはっきりするかもしれないのにやらないケース。かなり耐えながら


「どういったサプライヤーの選定を希望しますか」


なんて聞いてみると、


「なるべく自分たちの手を煩わせない取引先」


なんて言ったりする。「煩わす」とは、最低限のやるべきことをやった人間が、トンチンカンな周囲の行動で、やらなくてもいい事を追加でやることになった場合に使う言葉。エンジニアとしてやるべきことをやっていない場合は、使うべきじゃない言葉だ。ただ、そのままだとなかなか話も前に進まないし、そのままで捨て置くわけにもいかない。まぁこういうエンジニアは、ただプライドだけが高くって、技術的なノウハウは無くて、でもどういうわけかエンジニアで生きながらえている輩。過去の遺産で食いつないでいるんだろうけどな〜当たり前が通用しない困ったケースだ。


だから何もしない、では同類になってしまう。そんな時、私は異質を目指すのだ。