笑うしかないバイヤー




「そんなことは良いから、早くサプライヤーへ図面を提示してもらえませんか」


びっくりした。サプライヤーへ見積依頼をおこなうために設計担当者より提示された図面。内容に不備があった。私のような図面を書いたことが無い人間にも明らかに間違いとわかる表記。困ったなぁ〜と思いつつ、明らかな間違いをそのままに見積依頼をおこなうわけにはいかなかったので、自分的にはかなりやんわ〜り指摘したもの。


「購買に図面のチェックはお願いしていないので、早く言われたことをやってくださいっ!」


そして、挙句にこのセリフだ。ちょっと驚愕に値する。そして、そこまで購買部門、バイヤーの機能に無知なものかと、ここまでくるともう笑ってしまう。きっと、買うなんて誰でもできるだろ〜交渉はこっちにもできるんだから、早く図面を出せよ。後のやり取りはこっち(設計)でやるからって腹だろう。


まぁ、ここで怒って「バイヤーをなんだと思ってるの?」と切り返しても、メールで喧嘩する不毛地帯に足を踏み入れるようなもの。わかりました〜♪といって、見積依頼を提示した。


そして後日、案件は違うが発言の主と出張する機会があった。


自分が懇意にしているサプライヤーに発注前提での出張。発注前提とした根拠は、量産時の見積金額が、目標を達成しているとの設計担当者の見通しによるもの。しかし、実際は準備費用と称して、私のこれまでの経験ではありえないくらいに高額の見積が提示されていた。


「詳細仕様が明確にならないと、その辺の費用も明らかにならないんですよね」


サプライヤーの営業担当者の発言。そして、その発言に納得する同僚の設計担当者。


「その辺の金額は、追い追い出してくださいっ」


こうやって話を進めてゆけば、当然引き返せなくなり、話をしていたサプライヤーへ発注せざるを得なくなる。とっても古典的な営業マンの攻め方とも思うが、そんなことは当の設計担当者は気づいていない。どころか、笑みを絶やさずに話を進めている。これはある意味で素晴らしい部分なんだけど。


社内的には、懇意にしているサプライヤーを引っ張ってきた設計担当者が「コスト的にも問題ありません」との発言を繰り返しおこなっている。そしてこのまま話を進めれば、引き返せないところまで時を経た後に、費用処理をどうする?って話で揉めるだろう。そして、相手の気に障らない程度に、バイヤーとして危惧するとの意味合いで、苦言も呈している。なので、このまま事が進んだとしても、購買部門がその責を問われることは無い。


しかし、企業レベルでは大問題となる。さて、どのように穏便に事をひっくり返すか。徹底的にサプライヤーと対峙するか、それとも、別のサプライヤーを引っ張ってくるか。自社のトータルコストを考えて行動しなきゃって思う。じゃなきゃ、ほんとうのバイヤーとしての存在意義が問われるし。


私が今、もとめているのは、真の妥当性だ。部門の利益でなく、社全体の利益である。


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